1. 土木工事で流れを変えろ!治水・利水で発展してきた日本

土木工事で流れを変えろ!治水・利水で発展してきた日本

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土木工事で流れを変えろ!治水・利水で発展してきた日本

コップに入った飲料水

日本は細長い国土に急な山々という特徴的な地形から、多くの山では水を蓄えにくく、すぐに川を伝って海へと流出してしまいます。

また川も非常に流れが急で、世界有数の急流が揃っているのだとか。例えばドイツ、オランダなどを流れるライン川、フランスのロアール川などは、その水源地は日本のどの川よりも高い位置にあるのですが、ヨーロッパ大陸を延々長い距離流れていくために、水の流れも穏やかになります。

一方で日本三大急流と呼ばれる球磨川、富士川、最上川を始めとした日本の川は、比較的高い山から河口までの距離が短く、高所から海まで一気に流れていくのです。

治水工事によって住める土地を増やしてきた日本

冷えた水

険しい地形と急流を多く抱える日本では、古くから治水、利水によって山や川の形を人為的に変えることで、住めるエリアを増やして来ました。

自然のままでは頻繁に氾濫し、とても周辺には住めないような川を治水工事によって氾濫しにくくしたり、運河を作り川から水を引き農業用水や船便の運搬用に利用したり、逆に川の水を減らす、止めるなどして湿地帯を人の住める土地へと変えていったのです。

例えば現在の千葉県や東京都などは、大規模な治水工事により湿地帯から居住可能エリアへと変貌していきました。また川の水を農業、米作りに利用するために行われる利水工事は、全国各地で行われています。

そもそも日本では、弥生時代から治水工事を行っていたといいますが、農業技術や土木技術が大きく発展したのは、主に江戸時代に入ってからです。

とはいえ現在のように機械などはありませんから、大掛かりな治水工事は多くの人夫が投入され、また多くの犠牲を払いながら人力で行われて行きました。

しかしその結果、米の収穫量は飛躍的に増え、人が住める土地も増えたため人口も増え、国が大きく富むことになったのです。

江戸時代には治水・利水工事も活発に

日本の歴史に残る難工事としては、1754年(宝暦4年)に行われた宝暦治水があります。

この工事は木曽川、長良川、揖斐川という急流三川の河口が集まり、頻繁に水害が発生していた濃尾平野で行われた大規模治水工事で、多くの殉職者や過酷な作業環境からくる病死者を出しています。ただしこの治水工事は、地方の有力藩である薩摩藩の力を削ぐために、幕府が嫌がらせ的に押し付けた工事という側面もありました。

幕府が依頼した工事にも関わらず、作業中の堤防を破壊するなどの妨害が幕府によって行われていたという記録も残っており、また薩摩藩側の死者にはこうした幕府への抗議のために割腹した武士が多く含まれています。

この工事は、工事の規模と政治面、二重の意味で“難工事”だったのです。

江戸時代には、江戸の城下町の水事情を一変させる上水道も整備されました。神田上水、玉川上水という2本の上水、これは現在で言うところの上水道で、地中に木製の管を埋設しそこから複数箇所用意された上水井戸へと水が供給されるというものです。

庶民は屋外の共同上水井戸を使用していましたが、武家屋敷などには屋内に上水井戸が用意されることもあったといいます。江戸の街で上水が必要になったのは、前述のようにかつては湿地帯で、井戸を掘っても水が得られない地域も多かったため。

治水と利水の技術によって江戸は大きくなっていったのです。ただし、この頃はまだ水の洗浄を行う技術はありませんでした。

そのため上水の上流では、人が水浴びをした洗濯をして水を汚さないように、役人により監視が行われていたといいます。江戸の二上水を皮切りに、上水整備は日本中で行われるようになり、また明治時代に入ると下水道の整備も始まります。

また上水とは別に工業用の水道整備も行われるなど、近代に入ると国内の水事情は一気に整えられていったのです。

新幹線事業から生まれた国鉄のおいしい水とは!?

治水や上下水道の整備とはちょっと話が異なりますが、昭和中期からは高度経済成長期に突入し、また交通インフラも一気に整えられていきましたが、その中のひとつに新幹線網の整備があります。

昭和46年からは上越新幹線の工事のため、日本有数の連山である谷川連峰を南北に貫くトンネル工事が開始に。そしてその工事中に、毎分33トンもの水が溢れ出るというトラブルに見舞われます。

この湧水を物ともせずに、工事自体は昭和54年に無事完了。そして大量の湧水は当初雪の融解のために再利用していたのですが、現地の作業員たちは「この水はおいしい」とよく飲んでいたのだとか。

「それならばいっそ売ってみようか」ということになり水質調査を開始、飲料水としての基準を満たしていることがわかったため、駅などの国鉄関連施設で売り出されたのがボトルドウォーター「大清水」です。

運営が国鉄からJRに移管された際には、この飲料水事業も引き継がれ、現在は「From AQUA」という名前で販売を続けています。

こちらの名前なら知っている、という方も多いのではないでしょうか。

現在では世界トップレベルの清潔さを持つ水道が整備されていますが、塩素消毒を行っているためどうしてもカルキ臭さを感じることがあります。

安全で、しかもおいしい水を常時飲みたいという場合は、ウォーターサーバーの導入を検討してみてもいいでしょう。

水道水のおいしさという意味では、澄んだ湧水や川の水がそのまま運ばれてくる江戸の上水の方が上だったのかもしれませんね。