1. アクアソムリエが伝授!)軟水と硬水の違いとは?

アクアソムリエが伝授!)軟水と硬水の違いとは?

[記事公開日][最終更新日]

アクアソムリエが伝授!)軟水と硬水の違いとは?

ヨーロッパなどに行くと日本との水の違いに驚く、という話をよく耳にしますが、それは日本の水は軟水で、海外の水は硬水だからでしょう。

ただし、日本でも沖縄などで中程度の硬水が出る地域もありますし、海外でも軟水の地域はたくさんあります。

軟水と硬水は水の硬度によって決まる

水道

そもそも軟水か硬水かは、水の硬度によって決まります。

その硬度は、雨や雪が地中を流れる際の、その地質に含まれる成分や地中を通過する時間の長さなどによって変化します。

日本の場合は、山が急峻で地中に水が留まる時間が短く、また地質もカルシウムなどのミネラルがあまり含まれない火山岩などが多いので、軟水となります。

逆に海外の硬度が高い地域では、山がなだらかで地中に水が滞留する時間が長く、地質も石灰岩などからできているところが多いので、カルシウムを多く含んでいる硬水となります。

硬度の基準とは

硬度は、水に含まれるカルシウムイオンとマグネシウムイオンの濃度を炭酸カルシウム濃度に換算して出された値です。

具体的には(カルシウム×2.5)+(マグネシウム×4.1)(㎎/L)という式で求められます。ただし、硬度を分類する基準については、日本の理化学辞典(岩波書店)、WHO、メーカーが一般的に定めているものなどでそれぞれ異なり、その用途によっても使われる基準が異なるというのが実情です。

例えば、理化学辞典では硬度178以下が軟水、357以上を硬水としていますし、WHOでは硬度60より下は軟水、60-120は中程度の硬水、120-180は硬水、180より上は非常な硬水という分類となっています。

石鹸の泡立ちが良いのはどちら?

硬度はもともと「石鹸の泡立ちやすさ」を示す概念として使われていたもので、硬度が高いと石鹸の泡立ちは悪くなり、洗浄効果が落ちます。

また水道管などに白いスケール(炭酸カルシウムなどが析出したもの)が付着して、水が詰まりやすくなったり、ガス給湯器が着火しにくくなったりといった害が起きることがあります。

水をたくさん使う工場などでは、商品の品質が変わってしまう大きな原因となります。

硬度は低いほど泡立ちがいいので、洗濯や洗顔、洗髪などの際には軟水がいいでしょう。このように、生活用水や工場用水として水を考える意味ではWHOの基準で考えた方が良いかもしれません。

軟水と硬水、飲み水なら?

水しぶき

では飲み水としてはどうでしょうか?

市販されているミネラルウォーターには、硬度が0に近いものから、1,000を超えるものまであるので、WHOの基準の範囲で説明するのはちょっと無理があります。

ここでは理化学辞典の基準を用いて軟水、硬水の違いを説明したいと思います(178~357は中硬水とします)。まず味の面では、軟水は日本人が普段から飲み慣れている水ということもあり、まろやかでごくごく飲め、おいしいと感じる方が多く、硬度200ぐらいまでは抵抗なく飲める方が多いようです。

そこから硬度が上がるにつれて、だんだん喉にひっかかるような重みや苦みなどが感じられ、800~1,000を超えると飲めないという方もかなりいらっしゃいます。

ただある程度は飲み慣れているかにもよるので、日本人でも何日か飲んでいるうちに硬水が好きになるという方もいらっしゃいます。

また硬水には、腸に水分を集める働きをするマグネシウムや、老廃物を排出しやすくする成分などを含んでいるものが多いので、お腹が緩くなる方もいらっしゃるでしょう。逆に便が固い方や、便秘しやすい方などには向いているかもしれません。

水の硬度は用途別に使い分けを

栄養面では、硬水は日本人が不足しがちなカルシウム、マグネシウムを多く含んでいるので、食事が不規則でミネラルが不足している方、妊婦やダイエットなどでカロリー制限されている方などにいいでしょう。

しかし、日本で処方された薬を飲んだり、プロテインや粉ミルクを溶かしたりする場合には、軟水で飲むことを前提にして作られたものなので、軟水を使う方が適しています。

またかつおや昆布から出汁を取ったり、ごはんを炊いたり、お茶を淹れたりする場合には、一般的に軟水が向いています。

お米もピラフやリゾットにする場合には、少し硬度が高めの中硬水を使うと、米が固めのアルデンテの状態になり、本場に近い仕上がりになるかもしれません。

同じ料理でも、水をちょっと使い分けするだけで味が変化して面白いので、ぜひ1度試していただきたいです。

【専門家プロフィール】

アクアソムリエ 山中亜希

山中亜希

2004年、ミネラルウォーター専門店「AQUA STORE」の立ち上げと同時にイタリアにてアクアソムリエの資格を取得。2008年4月より、アクアソムリエを養成するミネラルウォーターの専門スクール「AQUADEMIA」を開校し、校長に就任するとともに、「AQUA STORE」のディレクターとしても活動。

ミネラルウォーターの正しい知識・情報の普及のために、セミナーや講演、企業へのコンサルティング業務などを行っており、台湾・上海・香港・マカオなど海外からも、セミナーの講師として招聘されている。